染草の彩
夏色
EARTH COLOR

マルバアカソに角のような花が咲き始めました。今年もふた抱え程刈り取って染めることにしました。思いがけず美しい鶯色に染まり驚きました。うっかりしていて、例年どうりてなく、絹のスカーフに明礬の先媒染をしていたためだと思います。こんな素敵なうっかりは草木染めをしているとしょっちゅうのことです。

 マルバアカソの全草を、押し切りと言う少し恐ろしげな道具で切り、大きなお鍋で煮込むこと数十分。薄い黄緑色の染液がとれました。茎葉は、ざるで漉して取り除き液が完全に冷めるのを待って、絹のスカーフを浸します。今回はここで「アレレ・・・」と思いました。いつもの色と違ったのです。引き上げた絹は、緑味強い黄色に染着し、煮染めをしたら、益々強い黄色に染めあがったのです。そこで、思い切って薄い鉄媒染をかけてみたところ、美しい柳色に染め上がったのです。太陽にかざすと、絹の布を通った光は、木漏れ日のような、柔らかな緑色の光になりました。

 とても美しい色・・・この色も、私の大事な心の色手帳に書きとめて、これから毎年染めていきたいと思っています。

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